穏やかな空

君とお昼寝

お昼ご飯はナポリタンを二人で作った。
二人で味見して作ったのに、できあがったそれは少し胡椒がききすぎていて笑った。
冷蔵庫の隅にあったしなびかけのプチトマトをスライスして入れたのが思いのほかよかった。

「ごめん、あんまり寝れてなくて今眠くなってきたから、ちょい昼寝していい?」
健太が申し訳なさそうにしながら言うから、「俺も一緒に寝よっかな」って明るく口にする。
ふわりと君が微笑む。この顔が見たかったんだ。

健太がベッドにもぐりこんだあと、俺も隣におじゃまする。
腕と腕がひっつく距離。
いつもならそのまま眠るところなのだけど、ふと湧きおこってしまった思いを行動にうつしてみる。
「朔?」
体の左側を下にして、健太の肩口に頭をのせた。
重たいだとか寝づらいだとか言われたらやめる気だったのだけど、健太はそれ以上何も言わない。

トクトクと君の体に血のめぐる音が聞こえる。 いつもより濃く、君のにおいがする。

「朔、そろそろ起きよっか?」
「へっ、あれ? 俺、いつの間に寝てーー」
君の声にガバッと起き上がると、陽の光で明るかった部屋は薄暗くなっていた。
「なんか一瞬で寝てたよ? 朔も眠かった?」
「……へへ」
眠くなんてなかった。
それなのに眠ってしまった理由は、言うのが少し恥ずかしくて、へらりと笑ってごまかした。
「夕飯食べて行く?」
「うん」
変に追及してこない君に感謝したけど、いつか打ち明けたいなって、そんな気もした冬のある日。